駄菓子文学館「黙って入るな 敷居を踏むな 風邪でもひいとったか」

駄菓子文学館

作者:もよぞう(愛知県名古屋市)

実家の近所の駄菓子屋さんは、強面のおばあちゃんがいつも店番をしていました。見た目だけでなく子供達にも容赦なく厳しい人で、無言で入るとまず「黙って入るな!」と叱られます。
「これください」「ありがとう」など、基本的な挨拶は絶対。
他にも敷居を踏んではいけないとか、雨の日は濡れたまま入ってきてはいけないとか、私も色々と叱られました。当時はおばあちゃんが怖くて、お店に入る時は深呼吸して緊張しながら入ったものです。
でも、子供達の名前を憶えていて、しばらく顔を見ないと「風邪でもひいとったか」とか前回叱ったことも憶えていて、「今日はちゃんとできたなー」と誉めてくれたり、それがちょっと嬉しくて、なんだかんだで近所で一番人気のあるお店でした。
今思えば、基本的な礼儀を教えてくれた貴重な存在だったと懐かしいです。私の小さい頃は、駄菓子屋さんでお金の使い方や社会性を身につけたという子は多かったと思います。
懐かしの駄菓子屋「風」のお店は最近多いですが、駄菓子屋さんって、お菓子の種類だけではなく、人を含めたその存在が子供にとって大切なものじゃないかなと思います。
 
【第7回駄菓子文学賞 お梅ばあちゃん賞 2014年4月】

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