駄菓子文学館「駄菓子屋さん それは小さな社交場」

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作者:あいうえお菓子(愛知県名古屋市)

私は子供のころ、親の都合で転校が多かった。人見知りの私は中々友達ができなかった。
忘れもしない小学3年生になったばかりのあの頃。私は長崎とあるの町にいた。
周りは長崎の方言。その中にいて標準語で話す私がおかしかったのだろう。今で言う軽いいじめのようなことをされた。憂鬱な思いで毎日学校へ登校した。
それはある日。今でも忘れもしないGWが終わってまもない5月12日。翌日に遠足を控えおやつの調達に私は近所のスーパーへ向かった。
そのスーパーにいつも私に嫌がらせをしてくる奴の姿を見つけた。
彼はその時一人だった。私の姿を見つけた彼は一瞬驚いたような顔をした。
しかしすぐにこちらに駆け寄ってきた。私は焦った。
照れくさそうな顔をして彼は「なんばしよっと?」と私に声をかけてきた。
「え?明日の遠足のお菓子を買いにきたの」ぼそぼそとわけを話した。
「あ、そうね。そげんことやったら駄菓子屋ば行かんね。こげんとこより安く買えよっとよ」あの、私そこ知らないんですけど・・・。
「一緒に行く?」彼にそう言ってもらえうれしいような怖いような。でもその後一緒に駄菓子屋に行った。
そこにはクラスの人たちが何人もいた。怖くて逃げだしたかった。
彼はすぐにみんなのところに行ってしまった。すぐにお菓子を買って一刻も早く帰ることを考えた。
でもね彼がみんなのところに行った理由は・・・
そこにいたクラスの人たちに私に嫌がらせをするのをもうやめよう。みんなで仲良くしよう。そんなことを言ってくれたんだ。
みんなが私を受けいれてくれた日。そして受け入れてくれた大切な場所。
その日を境に私はクラスのみんなとも打ち解け、ことあるごとに駄菓子屋に集まった。
でもその1年と数か月後転校が決まった。駄菓子屋に集まっているみんなにもこのことを話した。
みんな驚いた顔をしていた。中には泣いてくれた子もいた。
思えば遠足の前日彼が私をあの場所へ連れて行ってくれたから今の私があるような気がする。
小さな社交場。喜怒哀楽の詰まった子供たちだけの社交場。それが私の駄菓子屋像です。

COMMENT = 長文失礼いたしました。非常に珍しいテーマで、今まで忘れていたことを、ふと思い出してしまいました。大切なことを思い出させてくれてありがとうございました。
 
【第7回駄菓子文学賞 大賞 2014年4月】

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